序章「ジオパークってなんだろう?」

ジオパークとは、地球科学的意義のあるサイトや景観、その上に息づく生態系、それらを利用し育まれてきた文化や風習を保護し、教育や地域の持続可能な開発に活用するプログラムです。日本には46のジオパークがあり(2024年9月現在、そのうち10はユネスコ世界ジオパーク)、地質・地形などからその地域の成り立ち(過去)を知り、私たちの今の暮らしとの繋がりについて学び、未来を考えるための活動に取り組んでいます。本章では、ジオパークにおける様々な活動・取り組みを映像及びパネルにて紹介します。

(イラスト提供:日本ジオパークネットワーク)

第1章「ツナガル ~現在の暮らしと文化に繋がる地球の歴史~」

私たち人間は過去の地球の活動によって生み出された様々な地形や地質の特色を農作物などの特産品や観光に活かしています。また、そうした地形や環境は動物や植物にも様々な影響を与えています。本章では地球の歴史と現代の暮らし、文化や生態系との密接な関係について紹介します。

扇状地を活かした桜島大根の栽培
(画像提供:桜島・錦江湾ジオパーク)
カルデラ湖を観光利用している地域(洞爺湖)
   (画像提供:洞爺湖有珠山ユネスコ世界ジオパーク)
扇状地を活かした桜島大根の栽培
(画像提供:桜島・錦江湾ジオパーク)

第2章「カラフル ~様々な石たちが目の前の景色を彩る~」

本章では、岩石や鉱物などの色鮮やかでカラフルな世界をご覧いただくと共に、様々な石たちが目の前の景色を彩り風景を形づくっていることを、実物展示や顕微鏡写真などで紹介します。

日本の国石であるヒスイ。ヒスイといえば深緑の半透明な物が代表的です。本企画展では、糸魚川市で採集された緑色ヒスイの大型原石(全長約35cm)を展示します。

緑色ヒスイ(原石)(写真提供:フォッサマグナミュージアム)

会場にある展示の一つ「発見BOX」この展示は、普段使う日用品と地質との関係が分かる引き出し型の什器です。什器の天面に置かれた日用品がどんな岩石・鉱物資源に由来しどんな素材で作られているのか、まずは想像し考えて頂き、引き出しを開けるとその答えが見つかる、正に「発見を促す箱(BOX)」の展示となっています。

「発見BOX」(展示イメージ)

第3章「ツクル ~日本列島を形作った地球の物語~」

本章では、日本列島を形作った地球の壮大な物語を、岩石や化石などの実物展示やパネルにて紹介します。日本列島の土台となる大地の一部は元々大陸の縁にありました。約2,600万年前に始まった活発な火山活動によって大陸から大地の一部が切り離され、日本列島の原型が誕生しました。

現在の関東・甲信越には日本海と太平洋をつなぐ海峡があったと考えられています。この海峡のことを「フォッサマグナ」(ラテン語で“大きな溝”という意味)といいます。当時、そこが海であった証拠として、貝の化石を多く含む岩石が見つかっています。会場では貝化石の実物を展示いたします。

約9,000~7,000万年前、日本列島の土台がつくられたころの
海に暮らした異常巻きアンモナイト(ユーボストリコセラス)
(所蔵:地球科学可視化技術研究所)
約2,000万年前の海で堆積した砂質泥岩
(画像提供:下仁田ジオパーク)

第4章「ツタエル ~豊かな暮らしと大地の物語を未来へ伝える~」

本章では、暮らしを支える地質資源について紹介します。例えば、スマートフォンなどの電子機器に使用されている金などの希少金属は、地球が途方もない時間をかけて産み出した貴重な地質資源の一つです。

貴重な地質資源(砂金として産出した自然金)
(画像提供:糸魚川ユネスコ世界ジオパーク)

また、ジオパークでは未来を担う次世代の育成にも力を入れており、地域の資源やそれらを活用した私たちの暮らしを守るために重要な、地域資源の保全と活用のバランスを考える総合学習などを行っています。ジオパークが行う、豊かな暮らしと大地の物語を未来へ伝える様々な取り組みを紹介します。

特別展示コーナー「関東の大地の物語」

みなと科学館制作の特別展示コーナーとして、東京、特に港区を中心とした地形の成り立ちやその近郊における地質の特徴などを、立体地形パズルやナウマンゾウの大型復元模型の展示、パネルで紹介します。

港区の立体地形パズル

港区の地形の起伏を再現した立体地形パズルを展示します。海や川の作用で生まれた凸凹地形の上に街があることをパズルを用いて体感してもらいながら、高低差のある地形の成り立ちを紹介します。

東京にもいた!ナウマンゾウ

東京都内の複数個所の地層から化石が発見されているナウマンゾウ。会場に全高2.2m・全長2.9mの大迫力の復元模型を展示し、その特徴をパネルで紹介します。

ナウマンゾウ(復元模型) ©KOKORO.CO,LTD

企画展関連イベント

毎日開催!テーブルサイエンス「めざせ!石ころ探偵!~この石ころ、どこの石ころ?~」

参加者は「石ころ探偵」になって石ころが産まれた場所にまつわる間違い探しに挑戦します。見つけた間違いの数により石ころ探偵認定証(金、銀、銅)を進呈します。あなたも石ころ探偵認定パーフェクトを目指しませんか。

テーブルサイエンスは会期中毎日開催。10:00~18:00(最終受付は17:45)まで、ご予約不要でどなたでも無料でご参加いただけます。

その他の関連イベントとして、古生物学者の芝原暁彦氏をお招きし、参加者と一緒に東京の街と地形について語りあうトークセッションや日本の地すべり面粘土でできた「ドパス(土パステル)」を使ったお絵描きイベント、石ころのカードを使って石の特性や成り立ちを学ぶカードバトルイベントなどを実施します。

※各関連イベントの詳細は、順次みなと科学館公式HPにてご案内いたします。みなと科学館公式HPはこちら

他にも秋の企画展にはみどころがいっぱい!皆様のご来館をお待ちしております!