港区立みなと科学館2022春の企画展「国立科学博物館 巡回展 ダーウィンを驚かせた鳥たち 日本の生物多様性とその保全」では、多様な環境に合わせて生き物が進化したことに始まり、日本における独自の自然環境が生物多様性を支えてきたことを紹介します。本企画展は、「ダーウィンを驚かせた鳥たち」「日本の生物多様性とその保全」「港区にひろがる生物多様性」「にぎわいひろば」の4つのコーナーから構成されています。
 このページでは、一つのコーナーずつ企画展のみどころを紹介します。

 まず入口で来館者をお出迎えするのは、「ダーウィンフィンチ類」の模型です。

ダーウィンフィンチの模型
精工なバードカービング

 これらは、アメリカ自然史博物館の剥製を基に、精工なバードカービングで作られています。くちばしの形や体の大きさ等の比較から、のちに「*適応放散」の代表例となったダー ウィンフィンチ類の多彩なありようを知ることができます。
 模型を囲うように置かれる展示パネルでは、ダーウィンが進化論の研究を深める着想を得たといわれるガラパゴス諸島についてご覧いただけます。さらに、ダーウィンフィンチ類と進化論の関係性などを、若き日のダーウィンの日記を基にした『ビーグル号航海記』の引用も取り上げながら、紹介します。
 展示パネルにあるダーウィンフィンチ類の分類図と模型を照らし合わせながら、多彩な姿形を知っていただけるコーナーです。

*適応放散:一つの祖先から異なる環境に適した様々な形態の子孫が出現すること

 次のコーナーでは、「生物多様性とは何か」の定義をはじめ、日本の生物多様性の特徴などをパネルで紹介します。日本の琉球列島において固有性などが見られることや、小笠原諸島の特徴的な自然環境などに注目します。
 このような日本にひろがる豊かな生物相は、世界に誇れる点であるにも関わらず、近年環境は悪化しています。藻場・干潟の減少やシカの個体数の増加などの影響で、生物多様性が失われつつある課題にもふれます。
 そのような現状のなか、力が注がれている生物多様性の保全も取り上げます。国立科学博物館が取り組んだ水草の一種「コシガヤホシクサ」の野生復帰や、模型を使った「アホウドリ」の繁殖地の創設など、保全活動の具体例をご紹介します。

「日本の生物多様性とその保全」の展示パネル

 生物多様性の度合いを日本地図上に表現した、「生物多様性地形図」や、地球上で生活している生物種の多様性を表す64種類のフィギュアも併せて展示します。そして最後に、動画にて、世界で絶滅の危機に瀕する生き物の保全活動についてもご覧いただけます。
日本の豊かな生物多様性を知り、それを守ることの大切さを知っていただけるコーナーです。

 日本や世界の状況について知ったあとは、港区にも目を向けるみなと科学館オリジナルのコーナーです。実は港区のような大都会でも、生き物が住み続けやすい自然環境が整備されています。これは、「都市型自然環境」と呼ばれ、神社などに昔からある緑や、人が計画的に配置した市街地の街路樹など、5つのカテゴリーに分かれています。このことから、生きものの多様な居場所を都会でも確保しようする動きをご覧いただけます。
 さらに、港区が2010年に行った生き物調査の結果を立体模型で紹介。昆虫や鳥などの生き物が港区にどれくらい生息しているかご覧いただき、その多様性をご実感ください。また、港区環境基本計画でも示されている、「エコロジカルネットワーク」の形成とは何かについて、グラフィックを用い展示します。
 このような取り組みをご覧いただいたあとには、「みんなでつくろう~生命の木~」コーナーで、「生物多様性を守るために自分にできることとは?」に答えるメッセージを書いていただけます。メッセージを書いていただいた方には、オリジナルステッカーをプレゼント致します。家族や友人と一緒にご参加ください。

「みんなでつくろう~生命の木~」コーナー

 企画展の最後のコーナーは、未就学児も楽しめる「にぎわいひろば」です。『種の起源』をもとにした科学絵本などを手にとって読めるエリアを常時開設。興味を持った展示のことをさらに知っていただけます。さらには、川や湿地、街など生き物たちのすみかを再現したエリアも設置。トンネルをくぐり抜けて遊びながら、身近な生き物を探してみましょう。

「にぎわいひろば」の様子